上海から武夷山へ:古茶道を旅する・その1

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    2017.05.23 旅は上海から始まる

    雨の上海へ到着。
    空港から出るなりむっとする。
    タクシーやバスの行列に煩わされることなく、すんなりと地下鉄へ。実家に帰るのと同じ感じで上海に来てしまった。大きめな声、看板の文字、肌に触れる空気から、懐かしさを感じたのは意外だった。久しぶりなのに、ホッとする、息がしやすい感じ。

    中国でマイペースでいられると感じるのは、周りの人が、自分の想像を遥かに超えた我が道を生きているからである。

    APITAで、友人と待ち合わせ。あまりに蒸し暑い。フードコートで隣のお姉さんが飲んでいるカラフルな飲み物が気になった。「1点点」と書いてあったので、軽く行列ができているその店に並ぶ。
    乌龙奶茶(Wū lóng nǎichá)を注文してみる。
    サイズと甘さ、氷の量が選べるのが嬉しい。甘さを半分にしたので飲みやすく美味しい。アジア全般の「奶茶」文化が本当に好きなので、日本でももっと一般的に飲めたら良いなと思う。

    友人を待つ間、通り過ぎる人々を観察してみた。
    本当にみんな、微信(we chat)の音声チャット機能を電話で話すように活用していることに驚く。
    素早く、簡潔に。それもまた、ここでの暮らしや性格に合致していたのだろうか。

    友人と合流したのち、南豊城というデパートに移動した。
    夜ごはんを食べ、近況について報告し合う。環境が変わっても、年を経ても、こうして美味しいものを一緒に食べられるのは幸せなことだと思う。

    ゆっくりたっぷり話したあと、本日の宿である他の友人宅へ。
    明日から武夷山に連れて行ってくれるpenghuan(パンホァン)の家は、彼女の職場である天山茶城の近く、中山西路のマンション群の中にあった。新しく開発されている地域の一つだというが、外国人が住んでいる気配は感じられない。

    星の数ほどあるのではないかと思えるマンション群の一室で眠りにつく頃、自分もさっそく上海を構成する星の一部になったように思えた。

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    宮城県生まれ。 国際基督教大学教養学部卒業。2004年より上海戯劇学院に留学。 その後、上海にて映像制作の仕事に関わる。現在は東京で、コーディネーターときどきウェブ、イベント制作を担当しています。

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