友人から是非見せたい画があるの!というお誘いで、上海虹橋火車站から新幹線で約2時間、寧波站からタクシーで20分ほどのオフィス街にある匯港美術館・別称HKE ART MUSEUMを訪ねました。
この美術館は、多数の事業を展開されている王兆春氏が、ご自身のオフィスビル1階に5年前に開館した個人美術館です。
経営方針として:
・毎月1回年10回以上、個展もしくはグループ展を開催する。
・アーティスト選定においては、できる限り国内で無名のアーティストを探し当てることを基本とする。
・ネットワークを通じて紹介し、無名から有名アーティストに育てる。
・王兆春氏自身が世界中で出会ったアーティストの作品を美術館スタッフと審査し【無償】で展覧会を開く。
主に以上を謳っていらっしゃいます。
王兆春氏は名刺上は館長となっていますが、美術館経営は本職ではありません。ですが常にご自身にとっての良い作品を求め、それを独り善がりにならぬ様、スタッフと吟味し発掘していきたい。そして若いアーティストを励ましサポートし育てる。それが喜びであり楽しみだという事でした。当然アトリエもお持ちで アーティストが無償で使用できるようになっています。
王兆春氏の元には、彼の美術館で展覧会を開きたいという要望が途切れなく来るそうですが、ほとんどの場合お断りしているそうです。あくまでもご自身が決定され、無償で紹介したいアーティストを求めていらっしゃるとのことです。
そして今回10/28~11/21まで開催されている今井龍満個展。今井さんがここ寧波の匯港美術館で個展開催に至った理由も、王兆春氏の強い意向から実現されたものです。
今井龍満さんは東京都出身ですが、8年前から新潟県三条市を拠点に国内外で作品を紹介している福田画廊 D+5 ART GALLERYで毎年個展を開催しており、今年7月初旬、会期中に画廊の福田代表取締役の友人が王兆春氏を伴って画廊を訪れたことが個展開催の発端になっています。そして7月下旬には王氏から10月下旬開催の依頼をされたという・・・スピード展開!今井さんの作品に魅了されたという事ですね。
今井龍滿さんの作品は、『滴画』という手法で描かれています。紙或いはキャンバスの上、画面の大きさにもよりますが、低いと20センチほど離した場所から、ペインティングナイフに絵具をどっぷり含ませ垂らして描かれます。今井さん曰く、その数十センチの空間を漂い落ちる間、その絵具の線は自身のコントロールを超え予想と違った線が生まれ、思い描いた通りにならない場合が多い。それはまるで日常の中で、毎日たくさんの事を期待しているも なかなか思い通りにはいかず、むしろ満足出来ない場合の方が多い現実になぞられているようで・・・でもある意味予想を外れ、満足出来なくても、描かれた先に色々な意外性が起こり、逆に偶然驚くほど面白い結果につながる場合があり喜びにつながる・・・とご自身の作品についておっしゃっています。
そのあたかも生きているような線を使い、生きている動物や人物を描いている。今井さんの画には存在感があり、生命力に溢れているのは正にそこだと感じました。今後もご自身独特の創作スタイルを模索し続けていらっしゃる事と思います。
今回中国本土では初の個展開催ということで中国向けに思いを込め特別新たに数点描かれています。
今後の活動としてシンガポール・韓国デジョンアートフェアやLAアートフェアもちろん上海アートフェアにも出品予定ということです!
王兆春氏は、中国の起業家を特集した雑誌「Yinshang鄞商」の表紙も飾っており、金融経済誌Bloombergからも取材を受け、個人SNSサイトのフォロアーが4万2千人超えのVIPでありながら気さくな人柄でサービス精神旺盛な方でした!
そして少し話しは逸れますが、王氏のオフィスビルの地下駐車場があまりに清潔で明るく、空調が整っており独特の匂いも全くないのにはもの凄く驚きました!壁や柱は美術専攻の学生たちが描いた画で埋め尽くされています♪ 私はこんなに管理の行き届いている駐車場を初めて見ました。
それと実は王氏はもう一つ寧波で、箱根の景観に似た場所にイタリア人建築家の設計による美術館(杜岙美術館)をお持ちです。残念ながら今回はそちらにお邪魔する時間がなかったのですが機会があったら是非伺いたいです。
浙江省寧波市鄞州区泰安中路466号
(寧波市南部商務区泰安中路)
86-574-83056789
[email protected]
http://m.hke.cn