「日本の“オタク”にあこがれている!」
という中国の子に初めて会ったのは、2005年秋の上海アニメイベント会場だった。
大学生の彼は、「メガネ、チェックシャツの中に白Tシャツ、ジーンズ、そして必須の紙袋」という日本オタクファッションでキメてイベントに来ていた。
その年の夏に日本でテレビドラマ『電車男』がヒットしたすぐ後のことだった。
中国でも「宅男」という日本からの外来語が定着したのがこの頃だ。それまでも日本のアニメファンは多く、当時は中国でACG(Animation、Comic、Game)と呼ばれる分野で日本のコンテンツはトップ人気だった。
「オタク」は日本でも最初はネガティブな印象を与える言葉だったが、電車男あたりから「こだわりを持つ、極める、まっすぐな」人物像として、時としてあこがれや敬意をはらう対象として認知さえることも増えてきたように思う。電車男以後、中国でも日本のオタクにあこがれる若者はコアではあるが増え続けていると感じている。
さて、『電車男』から10年以上が経ち、オタク文化も進化している。
いや、今だと「ヲタ文化」と言うべきか。
先日(2016年7月22日)、上海でオタクによるオタクのための「ヲタ芸交流イベント」が行われた。
ゲストは、アイドルではなく、オタクあこがれの「ヲタ芸師」3名。名古屋から伝説のヲタ芸師・ななせさん、ロトさん、中国の夜瞑(日本語名よるる)さんがゲストとして参加。
主催は中国のオタク集団「AHP応援団」。上海の日本アーティストやアイドルライブでよくみかける団員達が数多く所属している。(基本みんなオタクファッションを踏襲。)
イベント当日は、ゲストへの質疑応答の形式で、「ヲタ芸(中国語で「WOTA芸」と表記)」をめぐり熱く楽しいトークが繰り広げられた。
オリ技を作るには?、シンクロ度と個性表現の相関性など・・・ウィキペディアで、ヲタ芸は「アイドルオタクがコンサート・ライブでアイドルのために捧げる応援の芸(パフォーマンス)」と書かれているけれど、ななせさんやロトさんの話を聞いていて、すでに「ヲタ芸」は独立したパフォーマンスとして確立されているのだなと。
(ヲタ芸師=アイドルオタクというわけでもないのかな)
日本でも中国でも、物知りのオタクの人に「オタクだね!」と賞賛を込めて言うと、答えは決まって「いえいえ、僕なんてまだ」。さらなるオタクにあこがれ、高みを目指し続けるオタクたち!
今後も上海定点オタク観測続けます^^
当日の動画レポート。会場の熱いヲタ風を感じてください。
“白襯衫之約”(白シャツの約束) wota芸 party
2016年7月22日 上海大悦城妖気屋にて
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ななせさんとロトさんが、上海で中国のヲタ芸師たちと踊っている動画です。
すごい!全力だなあ。
夜を駆け抜けるサイリュームの光が芸術的です。