今年の上海は雨が多かったためか、9月に入ってもうすっかり涼しくなりました。
というわけで、私の中はすでに食欲の秋が始まり、今年は旅に出なかったせいか、東南アジアの香りが恋しい!
南国野菜の空芯菜、香菜は市場の常連であり、ここ数年、タイマッシュルームやパプリカまでもが店頭に並ぶようになりました。また、上海ではあまり食べられないアボカドやライムも果物屋で品薄状態のものを買うと、隣でぶどうを物色していた知らない上海人が「それどうやって食べるの?」と聞いてくることがあります。
そこで、親切に答える私なのですが、「分かった!あんたタイ人かマレーシア人でしょう。肌が黒いし、中国語下手だし・・・」と無神経に言われるのには、ムッとしてしまいます。でも、大きな瞳のマレー系美人を想像して喜んでしまう単純な私です。
おいしいものを食べたいのは万国共通。
店頭で料理話になり、老板(店主)から試食までいただいて、ちょっといい気分になってしまいます。
外国人向け食材コーナーでは、時々タイバジル、レモングラス、エシャロット、カラマンシー(フィリピンの柑橘類)などが独特の香りを放っていることもあります。そんな時、私の頭の中は東南アジア料理で満たされてしまい、作ろうと思っていた麻婆豆腐はいつの間にか忘れて、東南アジア料理メインの献立になります。
写真:上海で手に入るスパイスたち
上海の市場では、日本のスパイス専門店のように美しく売られているわけではありませんが、香り高いクミンやチリパウダー、シナモンなどのスパイスも小袋1元(14円)ほどとお手ごろ。フォーやラクサ、ナシゴレンなどから、タイのレモン蒸し魚、フィリピンの照り焼きチキンまで、常夏の青い空をバックに屋台で食べるローカルランチを想像しながら、ビールを片手にガツガツ食べてしまいます。スパイスが胃を刺激して、更にお腹は風船状態。
夏に何もできなかった人には、夏を惜しんで東南アジア料理を作るのもお勧めです。
でも、上海で中華だけでなく、豊富な東南アジアの家庭料理を手軽に作れることは、本当に幸せです。
写真:番外編・ハノイの屋台