上海で街を歩いていると、様々な店で看板猫たちが出迎えてくれる。
「店主に猫好きが多いから?」
いえいえ、彼らは立派な”働き猫”なのです。
不管黑猫白猫,捉住老鼠就是好猫
(黒い猫でも白い猫でもネズミを捕まえるのがいい猫だ)
現実主義の鄧小平の発言として有名なこのフレーズ、もともとは四川地方に古くから伝わる諺だとか。
そもそも猫の起源を調べてみれば、「鼠を捕まえる目的でヤマネコが家畜されたもの」とあり、猫は農耕生活を始めた後の大切な米をネズミから守るための傭兵的な存在だったらしい。
まあ、上海の街角で見かける店番猫たちからはそんな使命感を感じられないのだが、のんびりした顔は表の顔で、実は日々任務遂行に燃えているのかもしれない。
戦力として期待されて、それぞれの店に雇われている精鋭たちなのだから。
写真:使命遂行中。単にひなたぼっこしているわけではありません。
写真:小さくても闘志みなぎってます。
私が以前住んでいた“老房子”(古い上海の長屋)には、ネズミの家族が住んでいた。
夜になると台所で家族会議を開いていて、その時初めてネズミは本当に「チュウチュウ」と会話するものだと知った。
さらにはテレビを見ていて視線を感じると思ったらテレビの下にいた子ネズミと目があったり、部屋を掃除していたらホウキで気づかずに親ネズミを掻きだしてしまいお互い飛び上がってびっくりしたりと、ネズミ家族とは図らずもかなり近い生活をしていた。
そうそう、働いている会社も引っ越すまではネズミの天下で、引き出しからネズミが飛び出してきたり(それもでっかいの)なんてことが日常的に起きたりしていた。
上海はかなりのネズミ社会なのだが、”働き猫”たちのおかげで、猫エリアには手を出せないようだ。
私も引っ越した後、2匹の猫と同居するようになって、ネズミの姿をぱったりと見なくなった。
いるだけでも、猫たちは彼らの仕事をしているのかもしれない。