魯迅公園へは、地下鉄3号線または8号線の『上海虹口足球場駅』下車すぐです。足球とは中国語でサッカーのこと、つまり足球場とはサッカー場。
地元のサッカーチーム、上海申花のホームグラウンドになっています。
公園内を歩くと、いました、太極拳や社交ダンスを楽しむ上海市民のみなさん。小さなグループを作って、あちらこちらで趣味を楽しんでいます。
ジョギング、バドミントンなどのスポーツはもちろん、中には水で地面に字を書くおじいさんや、飼っている鳥を鳥かごごと持ち寄って、その鳴き声を楽しむグループなど、中心部のビル群ではなかなか見られない光景が広がります。
今は市民の憩いの場となっている公園ですが、過去には対日本人爆弾事件の舞台となったり、日本の軍用地として接収されたり、日中の悲しい過去を密かに閉じ込めている場所でもあるのです。この辺りのことを予習してから歩くと、また違った感慨を持って、時代に翻弄されつづけてきた上海を感じることができると思います。
この日は8時頃に公園を訪れたのですが、既に運動を終え、帰る人も多くいました。働いている方はこれからごはんを食べて出勤なのでしょう。ほんとにパワフルですね!
活動が一番盛んなのはもう少し早い時間ですが、公園内にある魯迅記念館は9時開館のため、8時過ぎに行って、公園周辺の屋台で朝食を摂るとちょうどいい時間になります。
魯迅記念館は、紹興酒で有名な浙江省紹興出身の小説家で、上海居住時の住居がこの界隈だったことから、ここに建立され、また魯迅公園の名前の由来となりました。資料はすべて中国語ですが、映像やイラストも多いので、是非寄りたいスポットです。当時、魯迅と交流のあった日本人の内山完造についても展示があります。興味がある方は、魯迅の小説を読んでから訪れるとより一層楽しめると思います。
公園から外に出ると、租界時代の建物が残る一帯で、まだ残るのどかな上海を感じることができます。四川北路沿いに、公園を背にして歩けば、10分弱で、多倫路文化名人街に到着です。
多倫路文化名人街とは、この界隈に魯迅を含め、文化人が多数居住していたことから、所縁のある建物を中心に舗装・整備し、観光地化した500メートルほどの通りです。
ここには文化保護材として指定されている1930年代の古い建物や、当時の建物を利用したカフェやお店、ゲストハウスなどが点在しており、中洋建築の教会など、建物を見るだけでも楽しいですよ。ただ、お店は早い時間にはあまり空いていないので、こちらをメインに散策されたい方は、お昼前~午後に訪れたほうがよいと思います。
魯迅公園と多倫路文化名人街は、2時間もあれば十分に周れるコースです。
仕事の合間に、観光の合間に、訪れてみるのはいかがでしょうか。
【アクセス】 地下鉄3号線または8号線の『上海虹口足球場駅』下車すぐ
外灘にほど近い人民公園から地下鉄で少し北へ向かうと、上海市民の憩いの場、魯迅公園がある。中国屈指の小説家、魯迅にちなんだもので、公園内には魯迅記念館が併設されている。
公園は休みの日だけではなく、平日の早朝から人であふれ、太極拳やお散歩など各々の趣味を楽しむ様子からは、中心部とはまた違う上海のパワーを感じることができる。
そしてこのエリアは、かつて共同租界(外国人居留地)があった場所でもあり、公園の周辺を歩くと建物や記念碑から、その名残を感じることもできる。上海市民の生活を体感しながら、一昔前の上海に触れることのできるお勧めコースだ。