UMAです。2002年から2003年まで上海へ留学していました。それから早10年。
今も中国とかかわる仕事をしています。元留学生のその後と、日中の文化の違いについて、今回は中国から来たお客さんの話を紹介しながら、皆さんにお伝えしたいと思います。
中国から帰ってきた日本人留学生のうち少なくない人が中国とかかわるお仕事をしていると思います。中国からのお客さんを接待する、そういうことが今ではずいぶん頻繁にあると思います。中国語ができなくても、そういう仕事をする人もいると思います。というわけで、中国語ができる私は当然、そういった中国人の方を接待する仕事をよくしています。
接待というとお食事したり、視察したりといったイメージがありますが、買い物のアテンドもその一つであります。そういうわけでUMAも東京の秋葉原やら銀座やらで、百貨店や専門店をめぐり、アウトレットでの買い物に通訳としてお付き合いすることがあります。留学から帰国して10年、中国と付き合う仕事をはじめて7年になり、今では多くの買い物ミッションをこなしてきて、自信もついてきました。
しかし、ある日その自信を失いかけるアテンドがありました。
先日、中国のとある発展した地域からお客さんを迎えました。14人の団体さんで9名が女性でした。お金もけっこう持っています。で、当然オフには買い物に行くことになりました。たまたまそのときはショッピングセンターに行くことになり、女性陣たちから「UMAさん、通訳よろしくね!」と頼まれていましたので、同行することになったわけです。
これまでも多くの中国人女性の買い物ミッションに付き合ってきたので、少しは資生堂やら何やらの女性ブランド化粧品や、フェイスパックに使うフェイスマスクの中国語(面膜/miànmó)だってわかります。
しかしこのときは参りました。女性陣たちに連れて行かれたのは「女性下着売り場」。はい、ちっちゃいころに母親に連れて行かれて以来、来たことありません。もちろん売り場には私以外に男はいません。180㎝を超えるスーツを着た男が、女性たちの聖地に入り込んでいるわけです。通りかかる女性たちの目が気になります。しかし、仕事です。冷静に女性陣の質問にこたえます。
「Mって何?」「ああ、これはMだから中号(zhōng hào)だね。」
「これは日本製?」「(私が女性物の下着をひっくりかえしてタグを見ながら)ああ、日本製ですね」
「ちょっと私のサイズがどれくらいかわからないんだけど」「店員さんにはかってもらいましょう。すみません、彼女のサイズをはかってあげてください。え?そのサイズを私が通訳しないとだめですか、そうですか・・・えっと(結局3サイズを通訳する羽目になる)」
「このストッキングの20デニールと80デニールの違いって何?」「少々お待ちください。さすがにわかりませんので、店員さんに聞きます。」(黒い女性ものストッキングを「私が」持っていって)「店員さん、デニールってなんですか?ああ、厚さの違いですか、わかりました。」(心なしか店員さんの目が厳しい)
何となく目の前を横切る女子高生が「変態・・・」とつぶやいている気がします。
ひとつ向こうの通路にいるOLさん風の方の目線が相当きつい気がします。
私がのそのそと移動するたびに、なんとなく若い奥様が逃げていく気がします。
キャッシャーにいる女性店員が何かひそひそ話しているのが気になります。
参りました。変な汗が出てきます。しかし彼女たちは全く意に介しません。ちょっとさすがに参ってきたので、「日本人男性は普通こういうところに立ち寄らないんだ。恥ずかしい。」と告白したら、「え?中国人男性は結構平気でこういう売り場に来てるわよ?」とのこと。
すこし向こうをみると、確かに、今回のお客さんのうち、いい年した40代のおっちゃんが2人して、何枚もシルクのストッキングを買っています。私が「あ、ほんとだ、奥さんに買ってるのかな?」というと、女性陣「あげる相手が奥さん何だか愛人なんだかわからないわよw」とケラケラと笑っています。「自分たちの旦那がそうだったらどうするんでしょう。え、絶対に許さない?ああやっぱりそうですか・・・」
今回は女性下着売り場に連れて行かれるという災難に会い、これまでアテンドに慣れていた自分のプライド?も、羞恥心といっしょに粉々に打ち砕かれました。しかし、ふつう女性の下着売り場に日本人男性は行かないですよね・・・また、あっけらかんと、中国人男性の不倫文化を揶揄する中国人女性・・・
中国語を学んで10年、ちょっとした日本と中国の文化の違いを体験することになりましたが、まっとうな中国語人生を歩む千葉先生はこういう経験はしないだろうなあ。