大阪の合弁貿易会社で中国を担当する羽目になった「私」。日本の常識が通用しない中国とのビジネスに四苦八苦し、社内では華僑のキレ者上司にしごかれながら、徐々に中国との結びつきを深めていく。
一癖もふた癖もある登場人物それぞれが絡み合いつつストー リーは展開し、その面白さにニヤニヤしながら一気に読み切ってしまいました。
「ノンフィクション」である本書には当然、作為的なカタルシスはありませんし、物語のクライマックスというようなものもありません。
にもかかわらず読み切らせてしまうのは、「私」が中国で出会う様々なサプライズ自体が日本人にとっては全くの奇想天外、というところに秘密があるのかもしれません。
ポケットに手が入らないズボン。頭のでないシャツ。ジャムの瓶に入っているヤモリ。え、それマジ?などと吃驚している間に猛スピードでストーリーは展開していきます。
ノンフィクションでここまで笑わせるのは中国パワーの作用が大。これから中国へ行こうとしている方、すでに中国との関わりがある方もぜひ手にとって「中国の持つ熱と、夢を含んだ空気」を感じてみてください。