留学生の声第29回:鐘ヶ江房美さん

    0
    2903
    Q1 留学の期間は

    2011年11月 初めて上海に
    2012年3月~2016年7月 東華大学、上海対外経貿大学に語学留学

    Q2 中国との出会い・留学のきっかけ

    福岡で、水商売を25年していました。少しづつ景気が悪くなってきた中、自分の年齢も考え、商売をやめるきっかけが欲しいと思っていた矢先、お店のお客様で貿易関係の仕事をしていた先輩が、自分の仕事関係者の中国人の方を紹介してくれて、まず1週間の観光旅行に来たんです。

    そこで上海に来てみたら、今迄の中国に対する勝手な想像と違っていたのです。大都会であり活気に溢れ、自分が「井の中の蛙」状態だったことに気付き、商売をやめるきっかけにしたかった旅行が、もう一度、商売がしたい!と上海に恋してしまったのです。この旅行から3ヶ月後に再度上海に来ました。2度目に来た時に、言葉の勉強から始めようと決めました。

    Q3 学校選びは

    最初、自分の年齢(55歳)では大学で学べると考え付かず、3ヶ月の観光ビザを取得して来上海し、先輩が紹介してくれた中国人の方に探してもらった2ヶ月の短期語学学校で勉強を始めました。

    その間に、日本人向けフリーペーパーに掲載されていた広告の大学案内で、初めて年齢関係なく語学留学が出来ることを知りました。とにかくパソコンもできなかったので、その当時私には情報収集の手段が限られていたのです。

    そして、この3ヶ月の間に、先に大学(東華大学)を決め書類を揃えてもらい、一旦福岡に戻り、改めて中華人民共和国外国人居留許可(1年間)を取得し、晴れて大学で勉強するようになりました。

    Q4 その後の大学生活は

    東華大学で中国語を学んだのですが、この大学に決めた際、自分の情報不足でカリキュラムなどがわからないまま決めてしまい、勉強しながらも、私にはちょっと違うかもしれないと思うようになり、この大学で進級するのを辞めました。

    1年が終る頃、一度福岡に戻り「自分はまだ何も成していない」と再度3ヶ月の観光ビザを取得し、新たな留学先大学を探す為に上海へ戻りました。その時、初めて日本でパソコンを買ったのです。

    そしてパソコンの使い方など、1年間の大学生活で仲良くなった若い子たちに何から何まで教わりました。それは本当に貴重な時間でした。無事次の大学(上海対外経貿大学)も決め、改めて申請し、大学の寮の手続きもして本格的に語学留学生活を始めました。

    Q5 留学環境は

    初めて上海に来た時から1年間の留学(東華大学)を終えるまで、2年間は安いアパートを賃貸していました。

    その後、次の大学(上海対外経貿大学)で寮生活を開始。寮のビルは守衛さんがいてオートロック。部屋はキッチンはないものの光熱費・インターネット使用料込み。ベッドリネンの交換は2週間に一度。断っていたけれど部屋の掃除もしてくれる。さながらビジネスホテルの様で、ストレスも不自由もなかったです。

    自分は高卒だったので、大学生としての寮生活はとにかく新鮮で毎日が楽しかったです。若い日本人学生たちとの交流もですが、他の海外から中国語を勉強をしに来ている留学生と交流する事は何物にも得難い経験です。

    なんといっても共通語が中国語なので、お互いに分かりあうには必死になるわけです。19、20歳の子と一緒になって就職についてや結婚感を話せるなんて、日本にいたらきっとできなかったのだろうと本当に良い体験ができたと思っています。

    20160906-10

    Q6 放課後の過ごし方は

    授業は午前中に終わりランチを済ませた後は、授業についていくので必死だったのと生活費の節約の為、ひたすら宿題と勉強をしていました。洗濯も寮備え付けのコインランドリーを使わず、ほとんど手洗いしていました。

    Q7 好きな中華料理は

    麺類が好きです。「葱油拌面」は特に好きです。日本では食べられない味だと思います。

    Q8 お気に入りの場所は

    外灘の夜景。船でクルージングのコースもお勧めです。高層ビルを見ながら心に野望を秘め、次の日からまた勉学に勤しむ。。

    私にとって夢や希望を持たせてくれる上海ならではの場所です。

    20160906-02

    Q10 上海に来て嫌だったこと

    意外に日本人の言動が目に付き、日本料理屋で理不尽に威張っている姿などを見かけては不愉快になった事です。

    Q11 上海に来て嬉しかったこと

    地下鉄でもバスでもサッと席を譲る中国人の姿に感心しました。私の年齢はよく譲ってもらいました。
    以前日本で、席を譲られ「自分はまだそんな弱っていない!年寄り扱いするな!」と怒った人がいたという報道を見ましたが、おかしいと思いました。
    譲る気持ち、優しさを受取らなくては大人ではないですよね。

    Q12 留学に来たい人へのメッセージ

    私は若い人にではなく、自分に近い年齢の方々に言いたいです。
    語学留学は決してハードルが高いとは思いません。退職した後でも充分気後れする事なく勉強を始められます。若い時にできなかったのならば今からやればいいのです。私も55歳になって初めての語学勉強でした。最初は何も分からず大変でしたが、あきらめずに勉強をしました。

    ある時買い物で相手が言っている値段(数字)が聞き取れ、わかり始めてから本当に楽しく面白くなりました。聞く耳が発達するだけで、その場所にいる価値があるのだと思います。

    留学は生活なので、旅行で何度足を運ぼうと3ヶ月間の短期でも留学生活に勝るものはないです。ちなみに私はこの留学でHSK5級の資格を取りました。
    そして年齢関係なく言いたい事は「健康第一」です。健康でいるからこそ外国で生活ができるのです。

    それと「簡単に誘惑に乗らない」です。自分自身を律して生活してこそ、楽しい留学生活になるのだと思います。

    上海で商売がしたいという最初の思いは実現していませんが、歳も歳なので、今後福岡に一時戻り改めて考えたいと思っています。今は、老後を共にする方を募集中です(笑)

    鐘ヶ江さんの留学していた大学は・・・

    【東華大学】
    住所: 上海市延安西路1882号 〒200051
    問合せ: 外国留学生弁公室
    URL: http://www.dhu.edu.cn/

    【上海対外経貿大学】
    住所: 松江区文翔路1900号(松江キャンパス)/上海市古北路620号(古北キャンパス)
    問合せ: [email protected]
    URL: http://www.shift.edu.cn/

    ************

    インタビュー中、軽快な福岡の方言で淀みなくお話して下さった房美さん。
    さぞかし若い留学生に人気があったのではなかろうかと思わせるお人柄。ずっとお話していたかったです(笑)

    前の記事まだまだ変貌するアートなおもちゃ箱「M50」
    次の記事「温時泉光」が短編映画コンクールに入選しました!
    上海在住。アート好き*飲む食べる大好き (写真:©Adachi Makoto)

    返事を書く

    あなたのコメントを入力してください。
    ここにあなたの名前を入力してください